村上春樹の著作が、ここしばらくの間に二冊が文庫として発売されました。
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/04/10
- メディア: 文庫
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これは紀行文を集めたもの。時代的には1995年初出のものから2016年12月発表のものまでと幅広い。ただ、'95年の次は'04年とかなり空白がある。
最も印象に残った記事といえば、「もしもタイムマシーンがあったなら」でした。
もしもタイムマシーンがあって、一度だけ使って良いとする機会があれば、どんなことをしたいか?との問いかけから始まる文章です。
彼の答えは「クリフォードブラウン=マックスローチ五重奏団」の生演奏をこころゆくまで聴いてみたいとのこと。
「お~、Cブラウンねぇ・・・。とてもいいですねぇ」と無条件に同意!
皆様も、もし、聞いたことが無ければこの機会に是非、体験してみてください。
Clifford Brown and Max Roach - At Basin Street ( Full Album )
ジャズの歴史の中で彼(C.ブラウン)の評価はとても高く、夭折の人生でなかったならJ.コルトレーンと間違いなく共演していただろうとも言われています。
serai.jpこのページに記載されている後藤雅洋氏の彼に対する評価は、恐らく万人の認めるところでしょう・・・。
という事で、一人でも多くの方がこのエッセイを機にC.ブラウンに興味を持って頂ければと願う次第。
筆者が18歳の時に初めてC.ブラウンの演奏を聴いたのは下記のもの。
Dinah Washington & Clifford Brown - 1954 - Dinah Jams - 01 Lover Come Back to Me
スタジオでのレコーディングだったようですが聴衆の反応がいっそう臨場感を演出している雰囲気。ともかくノリの良い雰囲気で、いま聞いても全く古さは感じません。
原曲をWikipediaで調べてみたら下記の記述がありました。
「恋人よ我に帰れ」(こいびとよわれにかえれ、Lover, Come Back to Me)は、ポピュラー・ソングのひとつ。ブロードウェイのオペレッタ/ミュージカル『ニュー・ムーン(The New Moon)』のために、シグマンド・ロンバーグ作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞により制作され、オリジナル上演ではマリアンヌ・ビューノワ (Marianne Beaunoir) 役のイーヴリン・ハバート(Evelyn Herbert、ソプラノ)とロバート・ミッション (Robert Mission) 役のロバート・ハリデイ(Robert Halliday、テノール)が歌った。この曲は、1928年に出版された。
この演奏には三人のトランペッターが参加しています。他にテナーやアルトサックスのソロのパートもありますが・・・。ソロの順番は下記の通り。
Dinah Washington→Clark Terry→Harold Land→Clifford Brown→Keeter Betts&George Morrow→Herb Geller→Maynard Ferguson→Max Roach→Junior Mance&Richie Powell→Dinah Washington
二人目のトランペット奏者がクリフォードブラウンです。キレが良く澄みきったトーンと、ハイノートがてとも印象的な演奏となっています。
エキサイティングな印象、間違いなし! 一聴をオススメします。
二冊目は『村上さんのところ』
春樹さん、こんなことも聞いていいですか? 世界中から集まった質問は何と 3 万7465通。恋愛・人間関係・仕事など悩ましい人生のモンダイから小説の書き方、音楽や映画、社会問題、猫やスワローズまで、怒濤のメール問答は119日間、閲覧数1億PVに及んだ。可愛くてちょっとシュールなフジモトマサルのイラストマンガを多数加え、笑って泣いて励まされる選りすぐりの473通を収録する!
「 読者との交流を大切にしたい」との彼の気持ちからでしょうね。何年かに一回、読者の質問に村上さんが答えるという企画。「はてなブログ」で大人気だったようです。
村上春樹さん、寄せられたメールのすべてに目を通すそうですね。誰かが粗よりをするのではないそうな・・・
前作は『海辺のカフカ』発売後の企画で、電子メールで質問を受け付けるというもの。
『海辺のカフカ』の読者から著者のもとへ、ネット上で多数の質問、感想が寄せられた。13歳、15歳の少年少女から70歳の読者まで。日本の各地から、韓国、イタリア、カナダまで。トライアスリート、郵便局員からスチュワーデス、中日ファン、ヤクルトファンまで――。小説論から進路相談、そしてプロポーズの指南まで、さまざまな読者のさまざまな意見、疑問へ村上春樹が答えた怒涛のメール1200通!
答える方からすると大変な作業のようでありますが、この手のやり取りを読んでいたら「人となり」が良く判るような気がします。
このような企画、著名な作家としては初めての取り組みなのでしょうね。
彼のサービス精神の発露なのだろうと、私は勝手に思い込んでいます。読者をとても大切にされている姿勢の表れと受け取っています。