ウエストコーストジャズの中ではじめて「あっ、この演奏いいな!」と思ったのは、ジェリーマリガンの”Bernie's Tune”(バーニーズチューン)でした。
ジャズを聴き始めてから半年くらい過ぎた頃と記憶しています。
Gerry Mulligan - Bernie's Tune (1952)
ジャズに親しみ始めたのは、S.ロリンズからでした。それもサキソフォンコロッサスやニュークスタイムといったハードバップ系が中心。力強くエモーショナルな雰囲気の演奏にひかれていましたから、ウエストコーストジャズのサウンドにはどうもなじめないでいました。
ジャズは聞きなれるまで少し忍耐を要する音楽です。BGMとして楽しむものでもなく、それなりに集中していないと聴き手の気持ちには入り込んでこない少し厄介な音楽と思っています。
ジャズ初心者のための「聴き方」の解説本を結構見かけますが、その厄介さをよく物語っているようにも思います。
例えば、『挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門』です。
(ネーミングの上手さに思わず感心させられましたが・・・)
世界史的に見れば、ジャズの最盛期は第1次世界大戦でヨーロッパが沈み合衆国が浮上した1920年代の「ジャズ・エイジ」かも知れません。しかし音楽そのものから見れば、チャーリー・パーカーらの登場から始まったモダン・ジャズ期が、ジャズ最盛期でしょう。特に色々なスタイルのジャズが花開いた50年代は、モダン・ジャズの黄金時代と呼べそうです。
ウエストコースト・ジャズは、モダン・ジャズ黄金の50年代に、アメリカ西海岸で演奏されたジャズの総称です。チェット・ベイカーやアート・ペッパーといったアドリブ・スター、ジミー・ジュフリーやジェリー・マリガンといった名アレンジャーなど、錚々たるジャズマンがその音楽を作り上げてきました。
この次はその生い立ちと、中心的な担い手となったミュージシャンやレコードを何度かに分けて紹介する予定です。